2002年6月


 ドイツとブラジルが決勝戦を戦い2対0でブラジルが優勝し、2002年日韓共催ワールドカップサッカーは危惧されたテロもフリーガンもなく成功裡に終了することができました。一方韓国チームは予想をくつがえし準決勝まで進んだことで世界から驚異的な目が注がれましたが韓国に住む一人として良い体験が出来ました。

 開会式は日本から高円宮様と小泉首相が訪韓し金大統領と共にソウルのサッカー場で行われましたがこの様子をTVで見ていた韓国の友人が「韓国の国旗と日本の国旗が一緒でも自然に見ることが出来るのはスポーツだからね」と何気なくボッソリと話しました、この言葉の裏に現在の日韓関係が隠されている様な気がしました、やはり一般の韓国人にもまだ日本の国旗にはわだかまりがあるのかと・・。


大極旗と日の丸が並んで入場
お祝いの花火
   準々決勝のスペイン戦は土曜日午後3時からでした、会社が終わってから近くの運動場に仲間と一緒に応援に行くことになった。

 赤いシャツを着た大勢の人の中に入ってゾロゾロと運動場に向かう、運動場の入り口の付くで大極旗(韓国国旗)や赤シャツを売っていましたので覗いて見ると、私が買ったときは1万5千ウオン(1500円)でしたがここでは2着で5000ウオンです、やはりスペイン戦は負けるかもという意識があるのか叩き売っている感じです。運動場の中に入るとスタンドもトラック内も真っ赤な色で埋まっていて、「テーハンミングク(大韓民国)」「オ!ピススン(必勝)コリア」と大声が鳴り響き試合が始まっているような盛り上がりです。


「テーハンミングク」チャ・チャ・チャの大歓声
勝ってアガシも大喜び
 
 いよいよ試合が始まりその声が一段と高くなり心が揺さぶれられる感あります、黙っている方が恥ずかしい感じになり私も思わず一緒になって声を出します。

 試合結果はPK戦までもつれ込み韓国の勝利が決定すると皆総立ち!!抱き合って喜びを分かち合いました。それにしても対イタリア戦や対スペイン戦で発揮された韓国選手たちの勝つ為の執念と精神力、最後まで諦めない「全力投球」は日本チームが学ぶべき点かも知れません。

韓国チームの執念が伝わってくる
勝った喜びを自動車の上で・・危ない!

 日本人の一部には「我が韓民族の優秀性をしめした」という韓国型ナショナリズムに違和感を感じた人もいたようです、特にネット上で次のような声がありました。

  一連の判定疑惑によりサッカー全体を汚されたように感じるし、韓国サポーターの度の過ぎたナショナリズムに基づく応援姿勢には、むしろ嫌悪感を感じた。「ヒトラーの息子帰れ」「AGAIN1966」ドイツ選手の遺影のプラカードや自国とは関係ない試合でのガラガラの韓国スタンド、「テーハミング」コール・・・挙げれば枚挙に暇がない。正々堂々と戦い、勝っても負けても相手国の選手に敬意を払って、すがすがしく終わるのがサッカー。日韓の差が広がったと思えたのは日本がトルコに負けた時の韓国人の反応です。何十万人の人が一斉に「日本の敗退」に喜んだ瞬間は「何が日韓共催だ」とも思えました。

 私の感想はW杯サッカーはナショナリズムが出てくるのはどの国も同じではないか、ただ国によって差があるのは確かで、16強を目標として来た韓国が4強まで勝ち上がったのですから全韓国民が熱狂するのは理解できます。

 日本と韓国は何事もライバルです、過去の歴史問題からくる感情もあり日本との勝負には絶対勝ちたいと思う韓国人は沢山居ますから、日本が負けたことで喜ぶのはごく自然です、感情をストレートに出す国民性もありますし大衆心理も働き大きな拍手になったのであろうと思います。また韓国人の一部に他国の誹謗プラカードを持つ人がいたかもしれません、日本でも非常識な人はいます、一部を見て先入観で全体を批評して欲しくないのです。

 不幸な歴史問題は全て日本が仕掛けたものです、反日嫌韓の問題はまず日本から変わって欲しいのです。韓国人の本当の心を知る努力と相手の立場になって考える成熟国家としての度量の広いところを示すべきです。韓国の新聞にも日本対し「知ってみるとなかなか良い隣国」と認識の変化を掲載してます、これが今回のサッカーの日韓両国の大多数の感想だと感じます。私は今回のW杯サッカーは相互理解に役立ちましたし日韓の距離は更に近くなったと思っています。

 私はこのW杯サッカーに韓国語で案内できる実力をつけるため勉強をしてきたがまだ「志半ば」です。覚えるより忘れる方が多いのです。特に周囲に日本語出来る人が多すぎる事もあり、まだ一人で韓国内を自由に案内は無理ですが期間中2組の日本人グループを案内することが出来たことを付け加えたい(笑)。

 


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