2005年1月
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地下鉄4号線のサダン駅に朝の10時ごろ下車すると大勢の中高年の登山姿が構内に集まっていました。昨日からの雪がまだぱらついている日であるのに・・と考えながら地上に出てみると多くの人が山に向かって歩いています。15分ぐらい歩いて高層アパートを過ぎると直ぐに登山口です、ソウルという都市は山と山の間にできた街であり現在でも膨張を続けているのです。
雪模様の天気の中、雪が薄く積っている道を黙々と登り始めます。気温は零下8℃ぐらいか非常に冷たい風が顔面をたたくように吹き付けてきます、先日購入した耳までカバーする登山帽が役に立ちました。 |
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一時間も登ると体は暖かなったが疲れも出てきたので休憩しました、ここで飲んだ温かいコーヒーが非常に美味しかったのを覚えています。上着を一枚脱いで30分も登ると周りの木々が少なくなり岩を乗り越えたり岩の間を通り抜けたりする登山道になりました。天気予報通り晴れて見晴らしも良くなりました、木々に付いた雪が太陽にあたりキラキラと輝いており、その背景にソウルの町並みが霞んで見える素晴らしい景色が疲れも忘れさせてくれました。 「三角キンパ=おむすび」と「カップ辛ラーメン」がお昼のメニューでした。韓国の「おむすび」は辛さのある独特の味であり辛さが好きな人が多くなった日本で販売したら必ず売れるはずと思います。なぜこのような美味しくて変わった味を日本では利用しないかと思いながら食べました。カップラーメンは下界ではあまり美味くないが、このような山の上では風味が一段と向上したように感じるのは腹がへっているからだけではなさそうです。これからの山登りにはこの三角キンパとラーメンとお湯は必需品かもしれません。 上がったり下がったりの道をしばらく歩くと10人ぐらいの登山者が大きな岩の前で立ち止まっています、近くに行くと降りる人と登る人が狭い岩の隙間で鉢合わせになり立ち往生しています。すぐに年配の人が出てきて「そこの人待って・・この人が降りてから・・」などと指揮をします、我々もこの人にお世話でようやく狭い門のような岩場を通り過ぎることができました。
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ここが冠岳門と呼ばれている所であると解ったのは後でしたが・・ここからは不思議な型の奇岩が建ち並んでいます、見る人によって恐竜や怪物、怪魚、人の顔など、さまざまな姿に見えます。写真を撮ろうと思ったが先ほどの岩場で写真機をリックに入れてしまったのと、手が冷たくて写真を撮るような気持ちの余裕もありませんでした・・せまい岩の道を滑らないように歩いて行くと急角度の岩の前に数人の人々が前の人の足場が空くのを待っていました、周囲の人の話ではここを登れば頂上らしいことが解った。 雪があり、雪がないところでも岩がぬれているので細心の注意が必要である、購入したアイゼンを使わなくて大丈夫なのか・・見渡しても誰もアイゼンは着けていない。同行の韓国人はもう随分先に行ってしまったようである、一歩一歩よじ登る、後ろの人が「注意して・・」と声をかけてくれた、やっと通れる岩の隙間を抜けると急に前方が開けた・・そこが頂上であった。前の金網の中の建物は軍隊の施設であろうか銃を持った軍人がこちらを見ていました。下の開けた場所には多くの人が居ましたがその中に同行の人が手を振って待っていてくれました。 頂上にある恋主台(ヨンジュデ)と呼ばれている小さな寺まで行ってみることにする、お坊さんがお経を上げている声がするが熱心に拝んでいる人のため先には進めず、お寺の横から手を合わせただけで戻ってきました。この恋主台は切り立った岩の上に建っていて山頂から少し下がったところから見る景色が絶景で、昔から多くの文人がここを訪れては美しさを詩で表現した名勝地になっていたようです。
ここからここから少し下ると恋主庵という寺がありました。昼頃であれば食事の無料提供があるそうですが午後2時では無理でした。手伝いのアジュマが一杯1000ウオンのコーヒーを販売していましたので飲んでみました・・美味しくないがこれも功徳になると思い無理して飲み込んでしましました。 果川(カチョン)までの下りの道は日陰の道です。石が階段状になった登山道でよく整備されていましたが道の表面が凍りついていて滑りやすくなっています。前を行く若い夫婦の旦那が私に「ここは滑るよ!気をつけて」といって振り向いたとたんに本人が尻餅をついてしまったので大笑いしました。このような場所が多かったのと写真も撮ったりしたので同行者はかなり先に行ってしまったようです。1時間近く下がったところで同行者が待っていてくれましたが階段状の山道を長時間下っていると膝がガクガクしてきて平地に出ても歩き方がぎこちなくなってしまったようです。 果川市に到着し近くの食堂で韓国人が良く食べる健康食であるヘジャンク(お酒逃がしスープ)=豚の血を固めたものと野菜を一緒に煮込んだもので、深酒をした翌日食するとお酒が排出され体が元気になる食事=でお腹を一杯にして本日の山登りは終了しました。 なぜ、60歳後半になって山に登るのか・・その答えは健康のため、自然に親しむため、挑戦するため、などすべて当てはまります。経験して初めて山という大自然は不思議は力があるような気がしてなならいのです。山との関わりはもう一つあります、人と人との関わりでの新発見です。 <登山ルートの紹介(赤の矢印)>
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