2012年10月

 入院予約した日に病院に行き窓口で入院手続きをした。指示された6Fの東病棟のナースステーションに行くと食堂で看護師から入院中の注意などの説明があり最後に氏名・ID・バーコードが記入してある腕輪を手首につけてくれた。この腕輪については後で解ったことだが毎日測定する血圧・体温などの測定値の入力にはバーコードで読み取るようになっている。食堂でも配膳時に腕輪の氏名とIDを確認していた。IT化によりウッカリミス防止を徹底しているのだ

 以前入院した当時よりリニューアルされていてすべてが新しく清潔になっていた。ただ変わっていないのは親切な先生と若い看護師の笑顔を絶やさない献身的な看護であった。

 午後になり主治医のK先生から心臓カテーテル検査、冠動脈造影、血管内治療に関する説明を受けた。そして脳梗塞の危険や不測の事態により1000〜2000人に一人程度生命に危険が及ぶ可能性があることが書かれている同意書にサインした。18年前の心臓バイパス手術時の時も同じようだったしこの病院の先生を信頼しているので不安などまったく感じなかった。

 血液検査、血圧脈圧、心電図、胸部レントゲンの事前検査を実施したのであとは治療を待つだけだ、しかし病院の都合で土、日を挟んで5日後に実施となった。

 615号病室は4人部屋であり既に2名が入院していた。隣ベットのSさんは55歳で心臓にペースメーカーを取り付ける手術をしたが仕事が続けられるのか子供もまだ高校生なので今後の生活に悩んでいた、もう一人のFさんは83歳で心筋梗塞で入院手術したが従来から歩行困難のようで食事や下の世話まで手助けが必要で看護師の献身的な介護に頭が下がったあった。

 カテーテル検査は既に5回ほど経験しているが医療技術の進歩により最近は脚の付け根からでなく腕の付け根からカテーテルを挿入出来るようになっているようだ。検査当日に手術用の上着と帽子を付けて看護師と一緒に2Fの治療室まで歩いて行った。

 上部に三つの心臓を撮影用する機器が上下、左右、に動き左側にあるモニターに映し出されているようだが良く見えない。部分麻酔だから3名の先生の話す声が聞こえるが何を話しているのか意味が解らない、スタートしてからかなりの時間が経ったように感じた時に「10気圧、24秒」という声だけは良く聞こえた。多分この時がステントを広げたのかもしれない。

 術後の主治医の説明では予想した通り足から採取してバイパスした静脈血管が再狭窄していたので、まづ狭窄部の血管をバルーンで拡張してから、次にステントと呼ばれる網状のパイプを挿入し拡張(4×30mm)し血流を改善した。入室してから検査とその後の治療で3時間ぐらい要した。

 
入院時にいただいた狭心症読本より

 【治療ー閑話】

 心臓のバイパス手術やカテーテル検査など経験済みのわが身としては病院でどのような事前処置が必要なのか理解していた。左の手首からのカテーテル挿入と聞いていたがやはり鼠径部(足の付け根)の毛そりも行ってくださいと看護師から電動バリカンのようなものを渡された。

 浴室で毛を剃り上げて看護婦に渡したら・・検査しますという、エ!検査?と考えていたら処置室に連れて行かれパンツを下げてくださいと言う、仕方がないので指示通りに従った。若い看護婦が前面で中腰になり真剣な目つきで局部の左右を点検してくれて・・・良く剃れていますとの「お言葉」をいただいた。(笑)

 病室の看護師からT字帯は必要ないというから準備しなかった。しかし治療室でカテーテル検査した直後に先生から「このまま続けて治療しますよ」という声がかかった。途端に下半身に付けていたパジャマズボンとトランクスが全て引き下げられて外され周囲にいる先生3名と看護婦が2〜3名の前で全裸になってしまった。T字帯を付けていれば局所は覆ってくれるのだが・・と思ったがもう遅い一介の意思のない肉塊になるしたない。羞恥心など感じなかった。

 左側にいる男性の先生が「我が局所」を持ち上げて先端から尿道にカテーテルの挿入をした。男性先生がはかなり強引に尿道に入れたのでその痛い事、飛び上がるような痛さに耐えた。

 同時に進行していた右の足の付け根からから脈拍が落ちた時にための電極を入れる作業も完了したようだ。左腕の付け根からのカテーテルが入って行くときには何かが動いている感覚が伝わってきたがまったく痛さは感じなかった。医者の判断、技術を信じて身を任せる以外ない。家族のため、自身のこれからの人生のための再起を考えると我慢することなど何でもない事だ。
 
 
心臓カテーテル治療のイメージ

 治療後は今まで飲んでいた薬とは違った7種類の薬を処方された。ステントに再度、血の塊が出来ないように毎日必ず服用しなければならない。一週間ぐらい静養したら今まで通りの生活が出来るようになる、また無理をしなければ山登りも出来るという主治医の話しだから楽しみだ。

 入院中の主治医の先生の丁寧な事前、事後の説明や、いつも明るく笑顔の看護師に感謝したい。同時にこれから塩分控えめの食事や運動など生活習慣の改善について指導を受けた内容を守りたい。

 先日、読んだノートルダム清心学園理事長を務める渡辺和子著の「置かれた場所で咲きなさい」では境遇は選ぶことはできないが、生き方を選ぶことはできる」そして、「どうしても咲けない時は、根を下へ下へと降ろして、根を張るのです」という言葉を通り自身のために努力しよう。

 一週間の入院だったが医療費は6万3千円だった。高額医療費控除の恩恵や健康保険の10%負担など、日本の医療システムには感謝しなければならない。一方日本全体の医療費の増加など考えると複雑な思いも残った。

 
人生の第四コーナーを曲がってしまったわが身をこの写真を眺めながら感じた。
 
治療内容は動画で詳しく主治医から説明していただいた。
その時に内容の一部をコピーしていただいた写真を加工した。

 

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