2003年4月


大邱(テグ)市の地下鉄放火事件で多数の死傷者を出したことはまだ記憶に新しいですがこの事件から大災害が頻発する韓国社会に対する社会科学的分析と韓国の安全管理システムに対する政策提案を盛り込んだ書籍が韓国内で関心を集めています。

この書籍はソウル大社会学科の林玄鎭(イム・ヒョンジン)教授ら8人による共著『韓国社会の危険と安全』という表題の本です、この本の中身は韓国社会は「安全」よりも「スピードを、「中身」よりも「外見を、「プロセス」よりも「結果」を、「未来に付加される費用」よりも「現時点での費用節約」を最重要視していると鋭く指摘し改善を求めています。

私の身の周りで感じる現象もこの本で指摘している内容と一致することが時々あります、これは韓国社会が内在している問題点かもしれません、下記は町中で経験した2、3の事例ですがこれは部分であり韓国全体が危険であると言う意味ではありませんことも付け加えて置きます。

工事中とはいえ歩道ですから危険です・・ なぜ安全柵を設置しないのか不思議です 過程には問題があったが早く完成しました。 結果良ければ全て良し・・?


近代的なアパート群ですが内部は・・ 二階と三階の踊り場の表示が逆のままです

大邱市での電気機器商品の展示会場です、5日間の仮説電気工事ですが・・

足元では200Vの電気配線がむき出しです。 子供が知らずに触れれば確実に死亡です。

 


韓国では手抜き工事により、1994年にソウル市内の橋「聖水大橋(ソンステッキョ)」が崩落する事故があったほか、95年にもソウルで「三豊百貨店(サンプンペッカジョン)」が崩壊する事故が起こっています。今回の地下鉄放火事件はこれらに匹敵する惨事ですが、地下鉄建設工事中の95年にもガス爆発事故で百人あまりが犠牲となったのが同じ地下鉄ということもあり、韓国社会では「またか」という表情で事件を見る市民も少なくありません。

 


著者らは最近、大事故が頻発している理由に「スピードのある近代化をあげています。短期間に近代化を果たした韓国社会の特徴は「冒険追求」を英雄視する数々の伝説を創り出したという点にあります。 造船所のドックを完成する前にタンカーを受注し、世界最短期間・最小限の経費で高速道路を建設した「鄭周永(チョン・ジュヨン)伝説」が代表的といえるでしょうい。こうして成長には成功しましたが、その後、これらの代償を支払うことになると解説しています。


最近出来た公園への橋ですが景観優先で橋の欄干の安全対策が問題では・・??
 


経済発展を追求し経済的に豊かになった一方で、安全対策などには不備が目立つ現状に、見かけだけは立派だが中身はお粗末という現状について、一部メディアでは日本との比較取材も始めたそうです、原子力関係の事故など多発している日本の安全対策は韓国のお手本になれるのでしょうか、疑問です。