2001年10月

韓国南部の慶尚南道に伽耶山(1430m)という有名な山があります、この山に韓国三大寺の一つの海印寺(ヘインサ)という名刹があり、そこを訪ねてきました。

ソウルから自家用車でテグ市まで4時間、ここからオリンピック高速道路に乗り換えて1時間のヘインサICで降り山に向かいます。道の所々に黄色い花をつけた「朝鮮朝顔」が咲き、畑の合間には農家が点在している風景を眺めながらしばらく行くと急な登りになり渓谷が現われます。渓谷沿いには木々が生い茂り静寂幽谷の感ありました。しばらく行くと海印寺に到着します。

広い駐車場につくと多くの観光バスや自家用車が留まっています。韓国の有名観光名所であるから多くの人々を引き付けるのでしょう。また、海印寺は1995年に世界遺産に登録されており、八万大蔵経板木が保存されている事でも有名な所です。寺の置かれている環境も素晴らしく、韓国旅行へ出かける人にとってはキョンジュ(慶州)とここは絶対に外せない所と思います。

 
右側の農家の庭先にはキムチ瓶の塔があり韓国の農村風景らしい雰囲気でした。 海印寺の正門から入りました。
大寂光殿と三重石塔、この奥に大蔵経が収められている蔵経閣があります。 蔵経閣は正倉院の校倉造りとはまったく違う構造です。このような隙間だらけの構造で、保存が出来たのは、韓国の気候によるのかもしれません。


案内書によればこの寺院は802年に順応和尚とその弟子の理貞和尚によって創建されたとあります。また、ここには高麗大蔵経が保管されていることでも有名です。高麗大蔵経は「八万大蔵経」とも呼ばれているもので、高麗時代に国家事業として作成した8万余枚もの蔵経の版木のことです。最初の版木は1232年に蒙古軍により焼失しましたが、その後1236年に再び16年かけ再興されたそうです。
30名が精魂こめて書き刻んだ文字は約5千2百万文字になるそうですが、これらは全部を一人が書いたように筆跡が一定で誤字や脱字はもちろんありません。完璧な蔵経版木です。韓国人には本来このような精緻精巧な物を作る血が流れているのかと畏敬の念を持ったのでした。
板木を納めた蔵経閣内部境内の一番高い所 に作られているのは水捌けと風の通りを考え てのことでしょう。 蔵経閣は細長い2棟の建物から出来ていますが、 建物との間隔は空気の流れを考えて広くとられて います。奥に在る建物には、焼け残った高句麗板木 が納められています。

 


この海印寺に5時間かけて来た理由はもう一つあります。以前私が関係している会社の女子社員だった女性がここで仏門に入って修行していると聞いていたから尋ねてみたいと思っていました。

彼女の名前は林京子(リムキョンジャ)といいまして、私が韓国に来た当初から名所旧跡を案内してくれたり、日本に来て我家に宿泊し国際交流会のイベントに協力してくれた人です。まだ32歳の若い時になぜ尼さんになったかその心の変化を出来れば聞きたいと思ったからです、しかし会っても懐かしい日本での思い出話しだけで終わり、またの再会を約束しただけで帰途につきました。
修行している尼寺の正面にて法名、チョンハ (林京子)さんと記念写真です。 楽しそうに話してくれましたがここまで来る道 のりは大変であっただろうと思いました。
お寺からの眺望です、この景色を眺めて
現在6名の尼さんが修行しています
98年の来日時、国際交流会のイベントで
民族音楽を披露した林京子さんの思い出
の写真です

彼女(チョンハ)は今までの悩みから開放され自分の将来の方向が決まったことを明るく話してくれました、この尼寺で修行してから来年は仏教大学に行くそうです、もっと勉強して世のため人の為に尽くしたいと将来の夢を語ってくれました。


 

 


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