1999/9


「入門韓国の歴史(国定韓国中学校国史教科書)」

石渡延男監訳(東京大学講師)三橋広夫(中学校教論)
[(株)明石書店] ¥2800 1998年11月発行 ISBN4-7503-1084-0


韓国の97年度からの中学校用の教科書の全訳である。韓国では日本のように検定教科書でなく国定教科書であるから、内容は国定歴史像です。

古朝鮮から現代まで悠久の歴史・単一民族の歴史・民族自存の歴史・平和追及の歴史・文化暢達の歴史として纏められ。外来文化を弾力的に受け入れ今日の世界のどの文化とも区別される立派な民族文化を作り上げたと断言しています。

日本の歴史もこのくらいの自信に満ちた記述ができないものかと思います。日本に関係する記述は約40ページあり、従軍慰安婦についても「日本軍により強制的に慰安婦として犠牲になったと明記している」しかしこのような一部を取り上げ批判する事は間違いのもとで私としては思ったより全体として客観的記述になっているような感じた次第です。


「韓国ほど大切な国はない」

重村智計(毎日新聞論説委員)[東洋経済新報社] \1700   
1998年11月発行 ISBN4-492-21107-1

著者は日本と韓国は最も重要な戦略的隣国であり、今後この戦略的関係を構築発展させることの出来る相手は韓国とアメリカしかないと考えています。

ワールドカップサッカーの共催と南北統一に至るこれからの時期は21世紀に良好な関係を作る最後のチャンスであり、最近の日本―韓国の関係は近年で最も良い関係になってきていると言う。

世界で最もつきやすい外国は韓国であると著者は書いているが私自身4年間の韓国暮らしで同様な感じを持っているので共感できる内容でした。


「ソウルの大使館から」

町田 貢 (元外交官) [文芸春秋社] \1619   
1999年3月発行 ISBN4-16-354880-7  

筆者が最初に韓国に赴任したのは1965年ですからその頃の韓国の状況から外交官といえど反日感情の強く残る中での一般生活は大変な事でしたが日常生活で起こるいろいろな問題や事件を通して韓国と韓国人の移り変わりが描かれています。

キーセン観光の話が出てくるのが面白いです。日本人とキーセン観光の歴史は日韓の生活文化の中で話題にならなければおかしいくらいかたちを変え現在でも続いている現象です。韓国というと何を連想するかと日本人に聞くと多くの人はキムチ、キーセン、デモ、と答えるがデモとキーセンは過去のものと著者は言っているが私は今でも同じ状況は続いていて少し内容が変わっているだけと思います。

また私が4年間韓国の田舎に滞在して反日的感情にぶっつかた事は一度もありません、98年秋の金大中大統領来日以来日韓関係の雰囲気はかなり良くなっているようにも感じます。この裏には著者のような25年にも及び韓国に滞在した著者のような外交官の努力があった事も忘れてはならないでしょう。


「韓国とデイベートする」

北岡俊明 (評論家、日本デイベート研究協会会長) [総合法令出版] \1650
1996年10月発行 ISBN4-89346-540-6

韓国併合、従軍慰安婦、W盃共催、竹島、日本文化禁止、その他のテーマについて論破する内容であるからおだやかではないが倫理観念や責任観念なき暴言や理由なき非難中傷には断固として戦う事がデイベートであるとすれば韓国人との軋轢を考えるに当たり勉強しておいていい内容と思います。


「世紀末 韓国を読み歩く」

小針 進(大学教授)  [(株)東洋経済新報社]\1600
1998年11月発行 ISBN4-492-21109-8

1997年11月に200億ドルの緊急支援を国際通貨基金(IMF)に要請した以降韓国は今日までIMF体制が続いている訳です。

この経済的背景と反日感情の背景などが学者の目から分析し述べられている、竹島問題については韓国の鬱陵島の漁民との対話が載っていますがこの漁民が「こんな無人島を韓国と日本が取り合いをしていては将来が損だ、棚上げして双方が魚をとってもいことにすれば良い」という内容があったがそこで生活している漁民の現実的で説得力のある話が印象に残りました。


「日韓誤解の深淵 」

西岡 力 (現代コリア編集長)  [(株)亜紀書房] \1650
1999年2月発行 ISBN4-7505-9212-9

教科書問題、従軍慰安婦問題など過去の日韓問題は両国政府が事実関係に対するキチンとした調査なしに、一報は過去の経緯を無視した要求を出し、もう一方はそれを正面から反論せずに小出しに受け入れると言うその場しのぎの対応を繰り返して来たと思います。

また「反日日本人」が火をつけては日本糾弾を韓国マスコミが大きく取り上げています。こういった不幸な相互作用について詳しく述べられている、今後、両国関係の改善の為には一読すべき一冊の本であると感じました。


「日本人と朝鮮人(対談集)」

永 六輔 (作詞家、司会者、作家)・辛 淑玉 (人材育成会社社長)
[(株)光文社] \1200   1999年5月発行 ISBN4-334-97219-5

テレビの対談などで日本及び日本人の行動に辛辣な意見を述べていた人、辛さんとご存知、永六輔氏がなぜ対談したのか、まず疑問を感じ購入しました。本の副題に「決裂か和解か」とあったが、中身は辛淑玉氏のいつもながらの妥協のない考え方に永六輔氏がどちらかと妥協している内容である。

「韓国人の反日は日本人の南無阿弥陀仏と同じ」「粋と野暮が同居する韓国の色彩感覚」「新宿マンション12階にあるお寺」などの会話が面白い、また「みんなに好かれようと思うのは日本人の悪い癖で、喧嘩をしない努力をすれば良い」との話が私には印象に残りました。

朝鮮人とした所にもそれなりの意味がある、お互い過去の事実を知り、辛氏の考え方も知って朝鮮人と付き合わなければ日本の将来は暗い、しかし相当シンドイ感じはしますがね。


「金正日への宣戦布告」

黄長樺(フアン ジャン ヨブ)萩原 遼訳  [文藝春秋社]\1714
1999年2月発行  ISBN4-16-354980-3

北朝鮮のテポドンの再発車が問題になっている時、以前から理解しがたい北朝鮮と言う国の内情を知る上で参考になる本でした。

1997年2月12日に中国の韓国大使館に亡命した元北朝鮮の幹部であった筆者の回顧録である、金正日の性格や北朝鮮の労働党、行政、立法、司法などの機構組織が書いてあったり、大韓航空爆破事件や日本人拉致事件など数々の秘話が盛り込まれている、また著者が韓国に亡命した事により強制収容所に送られたであろう家族のことを考えるとこの人の苦悩を乗り越えた固い決意を感じ頭が下がります。


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