2012/2

 

 2008年は韓国・中小企業の支援を辞めたのだが・・・オーナーから再度の支援の要請があった。韓国の100名山もまだ45山残っているし・・・家族も健康第一で好きなことならどうぞ!と反対しなかったので「毎月に5日間、山登り1回(笑)」という約束でアドバイザーを担当することにした。

 日韓のビジネスの橋渡しはまだ出来るし、日本市場への拡販の手伝いも出来るかも知れない・・健康第一で趣味の山登りも体力の続く限り挑戦したい。昨年から最近まで読んだ韓国に関係する書物を紹介します。





朝鮮戦争(上・下)

ディヴィッド・ハルバースタム, 著   (作家 ジャーナリスト)   「株式会社 文藝春秋」 各¥1994
2009年月10月発行(上) ISBN978-4-16-371810-1  (下)ISBN978-4-16-371820-0 

本書の主人公は、マッカーサーである。日本の占領統治を成功させたマッカーサーが主人公であるが、そこで終わっていれば彼の軍人としてのキャリアは完璧だったが、そこに北朝鮮の攻撃という余計な仕事が降りかかってきた。敵の戦力を軽視していたマッカーサーの指揮する国連軍=米軍は緒戦では敗退を重ねるが、有名な仁川上陸によって形勢は逆転した。

しかしマッカーサーは北朝鮮軍を中国との国境まで深追いしたため、中国が参戦して戦争は泥沼状態となった。彼は原爆の使用を主張したが、トルーマン大統領以下、軍の中にもマッカーサーを支持する者はなく、彼は「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」という有名な言葉を残して去る。

朝鮮戦争は、アメリカが北朝鮮を警戒して軍を韓国に配備していれば起こらなかった。この失敗で北朝鮮を増長させ、蒋介石が中国から追放されるのを放置したという批判を浴びた米政府は、その後、共産主義が広がるのを予防する戦略に転換し、ベトナム戦争などの失敗を繰り返した。マッカーサーの失敗をまねいたアジア人を蔑視する独善性や、戦況が悪いという情報が上層部に伝わらないバイアスなどは、そのままイラクまで引き継がれた。

朝鮮戦争というのは、捕らぬ狸の皮算用がもののみごとに破綻した戦争とも言える。金日成の皮算用。スターリンの皮算用。毛沢東の皮算用。トルーマンの皮算用。そしてマッカーサーの皮算用。特にマッカーサーを指弾する内容には新たな発見を感じる思いである。本書では当事者である朝鮮人が何を考えどのような思いを持っていたのかが描かれていない。

この戦いでアメリカ人の死者は推計で三万二千人、ほかに十万五千人が負傷した。韓国側の損害は死者四十一万五千人、負傷者四十二万九千人だった。中国と北朝鮮はその死傷者数を固く秘匿しているが、米軍当局者は死者およそ百五十万人だったと見積もっている。戦争とは国の野望と虚飾の中で兵士だけが死んで行くのだ、なんと悲しくむなしいものかを感じた内容だった。

(上)
プロローグ 歴史から見捨てられた戦争

第一部 雲山の警告

第二部 暗い日々

第三部 ワシントン、参戦へ

第四部 欧州優先か、アジア優先か

第五部 詰めの一手になるか - 北朝鮮軍、釜山へ

第六部 マッカーサーが流れを変える - 仁川上陸

第七部 三十八度線の北へ

(下)
第七部 三十八度線の北へ(承前)

第八部 中国の参戦

第九部 中国軍との闘い方を知る - 双子トンネル、原州、砥平里

第十部 マッカーサー対トルーマン

第十一部 結末

エピローグ なされなければならなかった仕事

著者あとがき 五十五年目の来訪

解説1 歴史における人間の力を信じた男 - ラッセル・ベーカー

私は韓国を変える

盧武鉉(ノムヒョン)著 (韓国第16代大統領) 「朝日新聞社」 ¥1,365
2003年3月30日 発行 ISBN4-02-257825-4

序文で「日本の読者の皆さまへ」と題した文章の中に「この21世紀は分裂と対立の時代」から「和解と協力の時代」になるだろうと信じています。と記されているこの書籍は2003年2月に韓国第16代大統領韓国大統領に当選し盧武鉉(ノ ムヒョン)氏が発表したものだ。

盧武鉉(ノ ムヒョン)大統領の政権が掲げたのは「参加の政府」とすることで次のような三大目標と四大国政原理を発表した。

新政権の三大国政目標
・国民とともに歩む民主主義
・共に生きる均衡発展
・平和と繁栄の東北アジア時代

四大国政原理
・原則と信頼
・対話と妥協
・透明と公正
・分権と自律

本書は大統領としての考え方を書いたものだが国民の力をどのように国政に反映すべきか、どのように国民に奉仕したらいいのか。自らの経験と今後への展望などが書かれている。

愛情と信頼がすべてを変えるという理想主義的な考え方はその通りで良いのだが進歩派や左翼の実態は現実無視の教条主義ということだけではなく、それより彼らが北朝鮮の独裁体制擁護だというところに問題がある。反米、反日的な言動が目立った政権だったことを思い出すとここに書かれている内容は理想と現実のギャップがもたらす危険を感じざるを得ないと感じた本だった。

余談だが・・
重大な政策論争に行き当たるたびに、国民に直接語りかける機会を設け、ネットを利用したポピュリズムを形成して、既存の保守勢力の抵抗を突破しようとした。日本との関係では日韓双方がこれまで必要に応じて棚上げしてきた問題について、人権派弁護士として軍部独裁に反対する学生とともに歩んできた盧武鉉氏は文民政権の正当性を確立するために歴史の清算にこだわった。

2005年3月、三一節の演説では日本に植民地支配への明確な謝罪と反省、賠償を要求しついに対日強硬政策へと舵を大きく切り直した。「外交戦争も辞さない」というきわめて強い表現で日本への批判を続け、最終的には小泉の靖国神社参拝を理由として首脳会談を中止した。

退任後、盧武鉉の側近・親族が贈賄容疑で相次いで逮捕された。さらに盧武鉉自身も捜査対象となり逮捕も近いのではと思われていた矢先の同年5月23日早朝、慶尚南道の金海市郊外の烽下村にある自宅の裏山のミミズク岩と呼ばれる岩崖から投身自殺を図り死去した。

写真と絵で見る「北朝鮮現代史」

金聖甫(キム・ソンボ)・奇光舒(キ・グァンソ)・李信K(イ・シンチョル) 著
李泳采(イ・ヨンチェ)監訳・解説 「コモンズ」 ¥3360円
2010年12月10日発行  ISBN978-4-86187-075-0

北朝鮮はなぜ軍事行動を続けるのか? 1945年以降の北朝鮮史を新たな史料をもと解りやすく解説している。金日成・金正日はじめ貴重な写真や図表を多数収録。という紹介があったのでインターネット予約しておいた書籍が昨日届いた。

「主体思想」とか「先軍政治」などの言葉は以前から知っているがなぜ今まで北朝鮮の政治体制が継続して維持されているのか素朴な疑問があった。

この本を読んでも上記疑問が解ける訳でもなかったが少なくても北朝鮮がどのような経緯で誕生し1960年以降金日成唯一体制が始まり、首領中心体制が維持されいるのかの状況把握には役立った内容である。

世界の情報を遮断した中で南北の分断による朝鮮半島の緊張状態や首領ー党ー人民の一心団結、集団主義などは最高指導者の権威を増大させて現体制を維持させているのではないか。

我々から見れば貧しい生活の中ではあるが、一般大衆はそれなりのあるレベルの平等があるのではないか、無償教育、無償医療など配分条件で均一性があるのが体制の維持を下支えしているかもしれない。日本のTVで放映される貧しい情況は事実だろうが、比較対象がなければそれなりに現在の生活状況に大多数の大衆は納得しているのかもしれない。

いずれにしても日本の戦時中の生活を思い浮かべれば理解できる。北朝鮮指導部が発表する内容は大衆の盲目的な信仰にも通じる情況があるはずである。

体制維持のためにはこれからも時々は緊張を生み出すだろうが南北の戦争にはならないのではないかと思う、いやそうなって貰いたいのだ。また北朝鮮情勢は西側の一方的な情報だけでなく複眼的な考察が必要であると感じた本だった。

【北朝鮮の基礎データー(2008年)】
・人口:2405万人
・一人当たり国民所得:1065万ドル
・経済成長:3.7%
・輸出額:20.6億ドル
・輸入額:35.7億ドル


韃靼の馬

辻原 登著  (作家) 「日本経済新聞出版社」 ¥2520円
2011年7月7日発行   ISBN978-4-532-17108-7

ネットで注文した辻原 登著「韃靼の馬」が届いた。日本経済新聞で連載されていたので時々駅で新聞を買った時に読んでいたので興味をもっていたが、最近単行本化された。

時代は江戸時代、朝鮮通信使や雨森芳洲が出てきたり、暗行御使はじめ朝鮮の官僚達と釜山・倭館の対馬藩士たちの駆け引き、交流・友情などドラマチックな展開に引き込まれた本だった。主人公は対馬藩の侍の「阿比留克人」(あびる・かつんど)、ライバルは朝鮮人の「柳成一(リュウ ソンイル)」だ。

対朝鮮貿易を取りしきる対馬藩危機存亡のとき、窮余の一策として浮上したのが、伝説の汗血馬を馬将軍吉宗に献上しようという策だった。

その使命を帯びたのは…。
かつて朝鮮通信使の警固を務め、藩と幕府を救った若き藩士だ。文武に秀で外国語に堪能で、消えゆく神代文字が読める若者が国際的に活躍する話だ。

主人公の「阿比留克人」はもちろん日本語が母語だが、朝鮮語を流暢に話し、対馬藩の釜山和館に駐留して、対馬藩における使命だけでなく、幕府の密命をも果たそうとするのだった。徳川の江戸時代に緊迫する日朝関係を背景に、壮大なスケールで描く一大冒険ドラマである。


江戸時代の朝鮮通信使 

李 進煕著 (大學教授)  「青丘文化社」 ¥2415
2009年11月30日発行 ISBN978-4-396-31407-1

朝鮮通信使については昨年、新装改訂版の「江戸時代の朝鮮通信使」を読んでいたので両国の時代背景やこの本の内容にある朝鮮側の見た日本見分録と比較することが出来た。

また「釜山・倭館」、「東莱(トンネ)府」「会寧市(フェリョン)」などの地名が出てくる度に現代の韓国の地を訪問した時のことを思い出して懐かしい想いに耽った。

安東市(アンドンシ)
http://www4.nasuinfo.or.jp/~kaki/tabi/2008/haue/index.html

中部にある屈指の名勝地・丹陽(タニャン)
http://yoichi1938.sakura.ne.jp/yamanobori/2007/jebibon/index.html

峻嶮な聞慶(ムンギョン)の主屹山(チュフルサン)
http://yoichi1938.sakura.ne.jp/yamanobori/2007/cyufulsan/index.html

徳裕山
http://yoichi1938.sakura.ne.jp/yamanobori/index.html

元山(ウオンサン)へ続く鉄道跡
http://yoichi1938.sakura.ne.jp/omoide/korea_life/1999/line/line.html

会寧市(フェリョン)は、中国の吉林省延辺州龍井市と接する北朝鮮の地。
http://yoichi1938.sakura.ne.jp/photo/10/yenji/slide.html

ところで日本と韓国、いったいいつになったら当時のような「よしみを通じ会える」真の関係が出来るのだろうか両国の政治家にお願いしたいが・・・無理かなぁ〜無理だろうな。







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