こんな本はいかがでしょう?参考書籍19
2007/10

 

今年の夏は特に厳しい暑さを感じました。冷房を効かしてゆっくり読んだ書籍です。この文章を書いている時は韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と北朝鮮の北朝鮮金正日(キム・ジョンイル)国防委員長の首脳会談があり「朝鮮半島の平和体制定着」や「共同繁栄に向けた経済協力拡大」の共同宣言がありました。



本当はヤバイ!韓国経済

三橋貴明 著   (中小企業診断士)   「株式会社 彩図社」¥1429
2007年7月9月発行 ISBN978-4-88392-600-8  

経済新聞に本の広告が載っていたので購入して読んで見ました。著者は経済学者でなく中小企業診断士であり、企業コンサルタントですから経済オンチの私でも解りやすい内容でした。 「ヤバイ」とはいうものの、最近の韓国の新聞によれば
  • 07年上半期の経済回復が予想を上回るスピードで進みGDPが4.5%の成長率。
  • 年間の輸出額が3000億ドルを突破した。
  • 株価(KOPSI)が2000pの過去最高となった(ここ2日間は大幅な下落)
  • 外貨準備高が2389億ドルに達した。

などのニュースが伝えられていますし、私が関係する会社の国内受注状況など考えても韓国経済が危機とは思えません。

しかし著者は上記内容は必ずしも経済の好調さを説明している訳ではないといいます。短期外債急増→資本収支黒字増加→ウオン高→輸出企業不利→経常収支赤字化→国内の資金不足→短期外債急増の悪循環がじわじわと韓国経済の崩壊に向かわせていると分析しています。日銀が利上げをして、円キャリーの巻き戻しが危機のきっかけになるかもしれないということですが・・・。

なるほど、そういうものかと思いましたが、以前にも韓国経済の苦境のニュースは伝えられました。しかし崩壊もせずに現在まで来ています。確かに庶民は不動産や株価の高騰や自動車の高価格などには異常さを感じているのですが・・・まあ何とかそこそこやって来ています。

それと国が危機になったときの韓国人の国を思う気持ちや団結力の強さは日本人は遠く及びません。気持ちで経済が救えないというのは百も承知ですが・・・この本の内容は少し韓嫌感情がある見方の分析と感じました。さて今後どうなるか推移を見守りたいと思います。事実は小説より奇なりといいますから興味がある方は読んで下さい。


韓国経済を創った男ー現代グループの祖・鄭周永伝

朴正雄著 本田務・青木謙介訳  (メイテック社 代表) 「日経BP社」 ¥1700
2004年10月25日発行 ISBN : 4-8222-4424-5

韓国現代(ヒュンダイ)グループの創始者である鄭周永(チョン・ジュヨン)の伝記です。自動車、建設、プラント、造船、などを中心とする現代(ヒュンダイ)財閥の祖である鄭周永は、小学校しかでていないにもかかわらず一大財閥を築いた人物です。彼の素顔をかつて彼が全経連(日本の経団連に相当)の会長職にあった時期に腹心を務めた著者が描いています。

故人となってまだ4年しか経っていないのですが彼が牛500頭と共に北朝鮮に渡った映像は世界のメディアが一斉に報道したものです。晩年に行った北朝鮮への投資は分裂した祖国を統一したいという崇高な情熱だったとのことです。
私自身も南北の経済交流は今後とも拡大するであろうし鄭周永氏が主導した開拓者的役割は将来きっと大いに評価される時が来るであろうと思います。

特に創業期に先進技術を導入した先には近くの日本でなく欧米諸国になっていることに興味を持ちました。日本企業はリスクを回避したい為に提携条件で多くの制限をつけたようです。
もし日本企業と提携していたら現代造船の栄光はかなり違っていたものになっていたという記述は現在でも生きているような気がしてなりません。


失われた朝鮮文化

李亀烈(イグヨル)著 南永昌訳  (美術評論家) 「株式会社 新泉社」 ¥2500
2006年8月25日発行  ISBN4-7877-0612-8

かつては欧米先進諸国でも文化財の収集は正当な売買以外に略奪まがいのことが行われていたものですが日本も1920年前後から終戦の1945年まで、学術調査の名のもとに、あるいは盗掘・買収によって、朝鮮の貴重な文化遺産の数々がもち去ったという。文化部記者であった著者が、当時の日本人コレクターや学者の回顧録、調査報告書、現地住民の証言などを丹念に集め、闇につつまれていたその実態を明らかにしたのがこの著書です。

中でも韓国人が今も忘れずに絶対に許せない重大な犯行と糾弾しているのが「軽部慈恩」と言う人の古墳盗掘です。これが事実とすれば犯罪ですが既に故人となっています。軽部氏が存命であればどんな話をしてくれるのであろうかと感じました。

日本国内に眠っている朝鮮文化財がまだあるとすれば速やかに生まれた韓国に戻すべきであり、その国で保存され国民に公開されはじめてその文化価値がより一層光り輝くはずと思います。

1、侵略の足音とともに 2、倒された石塔 3、仏像のゆくえ 4、韓籍と日本アカデミズム
5、考古遺跡の破壊   6、八・一五解放直後  7、韓国文化財秘話余録


日本の中の朝鮮文化

金 達寿(キム タルス)著  (作家)   「株式会社 講談社」 ¥1200
2004年6月10日発行   ISBN:4-06-159501-6

全国に分布する古代の高い朝鮮文化水準を伝える発掘物や、忘れられたりあるいは隠された真実を韓国人の立場から探った内容ですが日本人の歴史学者や考古学者の研究を引用しながら記述している点が我田引水にならない内容になっています。文庫判シリーズ(9冊)の中で本巻は関東編で次の内容が含まれている。

「内容」
相模国の遺跡・武蔵野の年輪・北多摩の古墳・甲州街道から浅草へ・武蔵を後に下野へ・足利・秩父の渡来人
・房総・常陸をたずねて・上野に残された痕跡

私の住んでいる那須地方の記事も興味深い内容でした。日本三古碑の一つである笠石神社にある「那須国造碑」 は近くにあります。面白いのは著者は那須国造、那須氏自体が「帰化人」の朝鮮渡来氏族ではなかったかと
推論しているのです。と!すれば源平合戦での那須与一公も朝鮮から渡来した血が流れていたのかもしれません。

昨年、埼玉県の西武秩父線の高麗(コマ)駅で下車し、日和田山(305m)〜物見山(375m)のハイキングを楽しんだことがあります。7世紀に高句麗からの渡来人が住んだところで日和田山の前面に広がるのは、古代朝鮮文化の香りを残す高麗(コウライ)の里だった場所でした。高麗川が蛇行しながら流れている近くには高麗神社もありました。

この地を含めて著者は武蔵野が朝鮮人の移住地であっただろうと推測しています。武蔵という言葉も朝鮮語から来たものとしているのですが・・さてどうでしょうか?関東地区だけでも多くの朝鮮文化が残っていることが解り、日本全体ではどのくらいのものが残っているのか興味は尽きません。朝鮮半島からの渡来人を抜きに日本の古代は語れないと思いました。


来歴の狭間の中で

広部直之著     「株式会社文芸社」¥1000
2001年2月15日発行 ISDN4-8355-1312-6

著者は私と同年であるから戦争体験は無いはずです。満州で終戦を迎えた人の話を元にある老人の現実と回想の狭間の中に戦前、戦後の日本の姿を描こうとしているようです。

これまでの文学の常識を越えていこうとする作者の野心が見え隠れしていると紹介されている通りかなり変った ある種の回想録かもしれません。しかし読後感として残るものが少なかったのは私の不徳の致すところかもしれません。






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