国家の品格
藤原正彦 著(お茶の水女子大学教授) [株式会社新潮社]¥680
2006年1月20日発行 ISBN4−10−610141−6
戦後日本は祖国への誇りや自信を失うように教育され、すっかり足腰の弱ってしまっています。日本人は世界で唯一の「情緒と形の文明」をあっさり忘れ国際化という号令のもと、アメリカ化することにに踊らされてきてしまいました。日本は欧米の「論理と合理」に身を売ってしまったのです。現在も進行中のグローバル化とは、世界を均一にすることで、日本はこの趨勢に敢然と戦いを挑むべきというのが著者の持論です。いわゆる普通の国になってはいけない、「孤高の日本になれ」と。
また「祖国愛」を持てといいます。「祖国愛」とは自国の文化、伝統、情緒、自然を大切にするという心のことです。「愛国心」という言葉は「ナショナリズム」に通じ、他国のことはどうでも良いから自国の国益のみを追求するあさましい思想であり、「祖国愛」とは区別されるものです。
理論より情緒、英語より国語、民主主義より武士道精神の復活であり「国家の品格」を取り戻せと説いています。多少おしつけがましいところもあるが、書いてある事は至極まともで随所に傾聴すべき点があることは事実。愛国心と祖国愛なる言葉の定義のところは賛同します。
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