もう秋になり冬が来て年が変わります、あたりまえの時の流れですが時間はいつも同じなのにだんだん早く感じる のはなぜでしょうか。夏から秋にかけて読んだ韓国関連の書籍です。

2004/11


鉄馬は走りたい

小牟田哲彦 著 (鉄道紀行作家)  「椛錘v社」¥1800
2004年5月10日発行  ISBN4−7942−1304−2

ソウルから東北訪問にある江原道の鐡原(チョロウン)市があります、この近くの南北境界線の南方限界線に隣接して月井里(ウオルチョンリ)駅という駅舎が残っています。日本が韓国併合後に建設し北朝鮮の元山(ウオンサン)まで列車が走っていた時に使用された駅です。

この駅舎の裏側に朝鮮戦争当時の北朝鮮人民軍の貨物列車が弾痕の跡も生々しく横たわっており、韓民族の南北分断の悲劇を物語っています。ここにハングルで「鐵馬は走りたい」と書いた看板が立っています。この看板の表記がそのままこの本の題名となっています。
南北に分断された鉄道の昔と現在、韓国・北朝鮮の両側から実情を探り、廃路線を巡って往時の姿を偲んだ鉄道紀行紀行です。特に最近京義線の廃線跡にレールが引かれ半世紀ぶりにイムジン河をわたり、都羅山駅まで開通しましたのでいっそう興味が引かれた鉄道紀行文でした。この本を読んで再度ソウル駅から京義線に乗り都羅山駅を訪問し確認したくなりました。


朝鮮半島をどう見るか

木村 幹 著 (神戸大学教授)「鰹W英社」¥680
2004年5月19日発行  ISBN4−08−720241−0

街頭での激しいデモの映像や北朝鮮関係の拉致や核の報道などあるかと思えば最近では「冬ソナ」以来の韓流ブームで多くのドラマが放送されています。このように朝鮮半島に関しての情報はいつも刺激的です。特に韓国関連の情報に関しての議論はいつも熱くなります。そして肯定的見方と否定的見方のステレオタイプになってしまいます。
どうして他の国や地域を論じる時のように冷静に議論できないのでしょうか、著者は韓国の高麗大学亜細亜問題研究所の客員研究員も勤めている関係もあり日本と朝鮮半島の間にあるこじれた関係について解き明かし「あなたは朝鮮半島をどう見ますか?」と問いかけています。
近くにありすぎるからこそ見えない国であるので朝鮮半島にについて学ぶことは他人の人生について学ぶことであり、結局は人間について学ぶことであるという言葉が印象に残りました。
韓国を訪問する飛行機の中で読みきるには丁度良いポケットに入る本ですので一読をお勧めします。


変わる韓国、変わらない韓国

土佐昌樹 著 (国士舘大学21世紀アジア学部教授)「蒲m泉社」¥740
2004年1月21日発行  ISBN4ー89691−788−X

「スポーツ・ナショナリズム」「現代の韓国を動かしている新世代」「韓国の性論理」「日本の大衆文化の禁止」 「犬肉食文化」などを取り上げ情報や民族移動の活発化といった変化から大衆文化からみた韓国のナショナリズムとグローバリズムの成果について語っています。
特に2002年の日韓共催のW杯サッカー大会では韓国チームのめざましい活躍と全体の沸き返るような熱狂的な応援の様子は現地で共に応援した私には特に印象に残っています。あの時のナショナリズムは今でも健在です。
しかし日韓の間では年間150万近くの日韓両国民が訪問しあっている時代です、ダイナミックに変化し続ける韓国の社会と文化については興味つきない課題でもあります。


竹島は日韓どちらのものか

下条正男 著 (拓殖大学国際開発学部アジア太平洋学科教授)「兜カ芸春秋」¥680
2004年4月20日発行   ISBN4−16−660377−9

韓国側の独島(竹島)記念切手発行に対する日本側の抗議で韓国側の反発があり話題になりました。この領有権紛争は今後日韓の重大な問題にまで発展し両国政府が身動きできない状況になるのではないかと私は恐れています。
韓国側の領有権主張にどこに問題があるのか日本側の歴史的経緯から竹島は歴然のとした根拠のもとに日本の島であることを証明している内容ということで購入しました。
鬱陵島から見えたという島は干山・武陵二島(独島=竹島)なのか、松島が竹島なのか、朝鮮漁民であった安龍福という人の話などがキーワードとして出て来ますが私には日本の主張が決定的な歴史証明によりなされているのではないということは解かりました、しかしそれでは韓国の主張が正しいのかというとそうでもありません。だから日韓の紛争になっている訳です。日韓の竹島問題の争点を整理した内容ですので興味のある人は一読ください。

 


日本海と竹島

大西俊輝 著 (脳神経外科専門医 医学白博士) 「東洋出版」¥2800
2003年1月31日    ISBN4−8096−7422−3

著者は島根県の壱岐で生まれ育っています。少年時代に聞いた島の名前は「リャンコ島」だったそうです。日本は竹島を日本領と主張しますし、韓国は独島を自国領と主張しています。この島を浮かべている海は私も日本海と思っていましたが韓国では東海だといいます。しかも世界に向けて東海というべきと地図表記の修正を求めています。
日本から見れば日本海で当然であり、韓国からみれば東海が当然であるのです。この呼称問題にいての両国の歴史的経緯と文献につき解説しています。そして両国が当然と思っている呼称問題は真の意味での善隣友好を共有する国際会議で新しい名前を付けたらどうかという提案をしています。

竹島=独島領有権紛争については過去の数多くの歴史文献や地図について解説しています。やはり領有権問題に対する決定的な判断は出来ない内容でした。著者自身も日本領であるとか韓国領とかの判断はしていません。
昔から両国の漁民がお互い往来する「入り合いの島」であったようです。それが現在は紛争の島になっていることを嘆き、排他的縄張りがもたらす利益よりも海を開き、制限を撤廃し自由交流する方がはるかに優れた価値があるとしています。
竹島=独島領有権紛争は偏狭なナショナリズムでなく両国共通の歴史認識に立ってこの島を考えるべき時期に来ているので本書を書き綴ったと著者は「あとがき」で主張しています。

 



独島/竹島 韓国の論理

金学俊 著 (東亜日報社長) 「論創社」¥2500

まず著者が第一章の書き出しで「独島は紛争の対象ではない、数千年を超えて厳然たる我が民族の固有の島である」と述べることから始まっています。独島に対して日本人が取っている立場の本質を理解するには韓半島を侵略した歴史を理解する事が重要であるとし、独島を日本の領土だとするその根本には、韓半島に対する日本の歴史的な侵略と支配の欲求が存在しているからであると述べています。

この本にも文献が多数記載され韓国側の考え方や主張が書かれていますが同じ文献でも日本側の解釈とは正反対のものでありました。著者は政治学が出身であるのか随所に「日本の歴史的な侵略と支配の欲求」が根底にあるとする主張がありますがこのような視点からの論理は現代の日本人を納得させられないのではないかと残念に感じました、もう少し冷静で論理的な説明が出来ないのか不思議にも感じました。歴史的事実も全てこの視点から判断されると冷静なる討論を希望しても事実よりも感情や理念が先走る韓国側に辟易させられるという日本の学者の話を聞いたことを思い出しました。

しかし韓国側のこの島についての熱き思いを私は知っています。日本が自領土であると主張するなら日本国民のこの島にかける思いをもっと熱くする必要があります。竹島がどこにあるのか?知らないようでは「我が領土」であると言う資格があるのでしょうか。

 



韓国は変わったか?(ソウル便り10年の記録9)

黒田勝弘 著  (産経新聞ソウル支店長) 「鞄ソ間書店」¥648

韓国に在住し韓国事情に関する政治・経済・生活などあらゆる面で日本人としての発言をしている数少ない日本人です。産経新聞に掲載されたコラムをまとめたこの本の内容は変風(金泳三政権前期)・迷走(同後期)・感激(金大中政権前期)・混沌(同後期)革乱(盧武鉉政権)と分類してまとめています。
革乱という言葉は造語なのでしょうが現在の盧大統領政権の旧体制の改革を進める上での混乱をぴったり表現しているように思います。その時々に起こっている話題や自身の体験などを筆者が日本人の目を通して感じたことを書いています。
この本を読むと韓国の過去・現在から未来が見えるようです。

 



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